今日は、また、月一回の全校生徒早退日だったので、娘の大親友のセリースが家に遊びに来ている。彼女の母親はいつも働いているので、彼女は鍵っ子。彼女のうちは学校の裏にあるので、いつもだと、家まで歩いて帰るのだが、今日は、娘と一緒に学校の後、引き取った。
セリースの母親は、二度の結婚と離婚を経て、現在はシングルマザー。2年前に一人で始めた、メイド(ハウスクリーニング)の事業を売って得たお金で、最近、町に小さなカフェを始めた。この方が言うに、”私は、自分だけで事業を起こし、人のうちのトイレを掃除してまで、今では、$25,000で売れるほどの事業にさせた。今度は、このお金を元にして、カフェを始める。”
アメリカでは、離婚は日常茶飯事だ。娘のクラスでも何人かの親は、別居中だったり、離婚経験者だろう。今時の物価高では、両親が働かざるを得ないという家庭もざらだ。 こんな時代にシングルマザーになれば、母親でも仕事にでて、家計をささえる大黒柱にならなくてはと言うのは、当然だ。
そのシングルマザーにして、セリースの家はウチより大きい一軒屋だし、新車にも乗っている。ジョージアには、タイムシェアのコンドまで買っているとすると、まさに、彼女の母親はビジネスにおいては、成功者だ。
だけど、少しここで、考えることがある。この間、セリースがウチに遊びに来て、既に、夜の8時を超えて、娘も明朝の学校の支度もしなければならないので、セリースに彼女は家に帰らなくてはならないと言った時だ。彼女は、とても寂しそうな顔をして、ウチに帰っても誰もいない、と言う。母親からは、8時に、自分が家にいなくても、セリースを帰宅させてよいと聞いていたので、送って行くというと、彼女は、ウチのママはいつも家にいないと言う。
そういえば、ウチでは、マカロニ&チーズとか、ポークチョップスとか、ごく普通のアメリカ家庭料理を作るのだが、彼女はそういうものには手もつけない。換わりに、パックに入った、インスタントのラーメンを食べてよいかと聞いてくる。彼女、これをいつもオヤツに食べるんだと。
どういうものを夕飯に食べるのと聞くと、レストランで食べるか、テイクアウトばかりだという。家庭の味とは、縁が無いのかもしれない。
その夜、彼女のうちに送りに行くと、家の中、真っ暗。”ほらね、これだから、帰りたくないのよ。”と彼女は言う。かわいそうだったので、家に入って、異常が無いことを確かめて、母親に電話をするように彼女に言った。外に出て、ふと家の方を見ると、フらインドの開いた窓から、母親に連絡を取っている彼女が丸見え。もう一度、ドアまで戻り、危ないからブラインドを閉めるようにと言った。
”20分ぐらいでママが帰ってくる。”と嬉しそうに彼女が言った。ドアの鍵を後ろ手で閉めて、外から誰も入れないようにして、彼女の家を出た。 アメリカでは、20分の間にも何が起こるかわからない。ドアに鍵をかけないで一人でいるのは、物騒だ。
帰りの車の中で、考えた。アメリカで女性が事業において成功すると言うのは、家庭を犠牲にしてまで、男性なみに働かなければならないのか?家庭の味も知らずに育つセリースは、将来どんな家庭を築くのだろう。
ウチは贅沢はできないが、なんとかダンナの収入だけで暮らしていけるのは、幸いだ。もちろん、時には、こんな貧困な生活に飽き飽きして、贅沢をしたいとおもうこともあるし、また私も仕事に出ようかしらと思う日もある。でも、娘が私を必要とする間は、しばらく贅沢は我慢しようか。
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